フロー波形について|You-MOST
2020/08/17
医療従事者向けかな
今一度、医療従事者向けの記事を掲載します。
CPAP装置をお使いの方でも興味があれば読んでください。
CPAPを使い始めるときに必ずPSG検査を受けますよね?
携帯型検査にしても、院内等で脳波などのセンサーをつけるPSG検査(フルポリと呼んでいます)にしても、必ず鼻の下にフローセンサーを取り付けます。
今日は、そのお話です。
医療従事者でも「ザックリ」した知識しか持てていないのではないでしょうか?
CPAPのみに従事している方には仕方のないことなのでしょう。
「えっ?」と思われるかもしれませんが、検査やCPAP治療の中では正確なフロー波形を見ることがほぼ無いからなのです。
何故か?の前に
PSG検査においてはサーミスタやプレッシャー(カニューラ型)センサーが用いられます。それぞれの特徴を解説します。
サーミスタセンサー・・・・温度の変化によってフローの変化を計測します。呼気がセンサーに当たれば常温より暖かくなり、その温度変化を「呼気流量(呼気フロー)」とみなします。逆にそこから温度が下がれば吸気流量と認識していきます。温度が上がるスピードが速ければ ”勢いよく吐いている” し、急速に下がれば ”勢いよく吸っている” と判断できるからです。
プレッシャーセンサー・・・・カニューラ先端の圧力を測っていて、呼気があるとカニューラ先端の圧力が上昇します。吸気の時は逆に吸い込まれていくので圧力は下がります。その圧力の変化をフローの変化に置き換えて測定しています。勢いよく吐けばより圧力は上がりますし、勢いよく吸えばより圧力は下がります。
何となく計測している原理は分かりましたか?
更に豆知識として、何故サーミスタに比べてプレッシャーセンサーの方が精度が高いとされるのでしょう?
・・・それは、プレッシャーセンサーは「温度」や「湿度」の影響を受けずに計測できるからなのです。
下の写真は実際にCPAP装置で使用されているフローセンサーと原理です
左と中は実際にCPAP装置から取り出したフローセンサーです。
鼻に付けるものとは違いますね。
PSG検査やCPAP装置では応用やイレギュラーが多いので説明が分かり辛いかも知れませんが、人工呼吸器やCPAP装置では写真にあるようなフローセンサーを使用しています。
この場合、空気の通り道は筒の中しかないので正確な流量を測定することができます。
PSGでは一部の流れている空気しか測定できないですし、CPAPでは漏れのある状況での計測になってしまうので正確さに欠けるのです。
原理が右の図ですが、筒状のお部屋に少しだけ抵抗となるものを置くことで部屋を分けます。そこに矢印の方向へ空気の流れが発生すると左側の部屋の圧力は右側の部屋に比べて圧力が上昇します。この左右2つの部屋の圧力差によってどれだけの空気が流れているかを数値化したものが流量(単位:LPM=liter/min)となります。
差圧式トランスデューサーと呼ばれています。
「l/sec」で表現されていたり「ml/sec」でも表現されますね。
「/min」は1分間に流れる量を表し、「/sec」は1秒間に流れる量を表しています。「ml」は「cc」でも表現されます。
PSGで使用するプレッシャーセンサーはカニューラタイプで穴が2つある!の2つではありませんよ!誤解のないように。左右2つの圧力は測定していません。根元では1つになっていますよね。
単純に陽圧になったか陰圧になったかで吸気と呼気を区別しています。
医療従事者の方はお気づきでしょうが、写真のように空気の通り道を限定して計測している訳ではないので精度は低くなります。しかし、PSG検査においてはそこの精度が必要ではありません。必要なのは空気の流れがあるかないかという事と、その大きさに変化があるのかというところです。
フローの変化に敏感なのがプレッシャーセンサーで、口呼吸を測定することができるのがサーミスタセンサーと覚えておくといいかな!
だから、低呼吸はPセンサーで検知して、無呼吸をSセンサーで検知するように指導されている訳です。
携帯型睡眠検査装置は多くの場合プレッシャーセンサーを使うので口呼吸に対する感度は落ちてしまうことは知っておくべきでしょう。
本来のフロー波形は「0点」が中央にあり、上の山が「吸気」下の山が「呼気」を表します。吸って止めるや吐いて止めるをしてもらうと、フロー波形の中央でフラット(横棒のような)な線が描かれます。しかし、サーミスタの場合吸気休止は山の上でフラット、呼気休止で下の山でフラットになる。若しくは「フラットにならない」可能性もありますので、一度確認してみると良いですね!
フラットではなく段々上がっていくなどの波形が見れる場合は、サーミスタが呼気で温度上昇し、無呼吸によって無風になるが常温に下がっていくために基線がズレていく様子が描かれているのかも知れませんので。
是非、医療従事者の方々には探求心を持っていただきたいです。
その探求心によって得られた情報は、きっと「患者様の役に立つ」はずですから!