CPAP専用加温加湿器について|You-MOST
2020/02/29
加温加湿器の役割について
加温加湿器について書いていきます。
先ず知っておくべきことは、私たちの呼吸は鼻腔という場所を通るときに「加温加湿」されると同時に「小さなほこりやウィルス」を取り除いてくれます。口で呼吸をすると「鼻腔」の一部しか機能されないので「乾燥」するし「病原菌」を取り込んでしまいやすくなります。
ということは、口で呼吸するより鼻で呼吸した方が良い!ということです。
しかし、SASの人は無呼吸や低呼吸状態で低酸素になり、自己防衛本能によって覚醒させられて呼吸を再開するため多くの場合で口呼吸になります。
100m走をして酸素が低下した時に悠々と鼻呼吸をしている人はいないですよね?
「ハァーハァーッ」って口で呼吸してませんか?
SASの人は、その口での呼吸が日常化してしまっている人も少なくありません。
CPAPもちゃんと鼻で呼吸をしていれば、加温加湿器が無くてもうまくいく人が多いです。
ところが、マスクの漏れや口からの漏れが存在するとそれが一変してしまいます。
本来、自分の呼吸している空気だけを加温加湿させるための鼻腔の機能が追い付かなくなり、部屋の温度や湿度が大きく影響してくるようになるわけです。
人工呼吸器を扱っていた経験から、人工呼吸器での加温加湿器の役割も学んできたので解説します。
理想からすると、肺胞に到達するときの空気は温度が体温と同じで相対湿度が100%が望ましいのです。相対湿度100%とはその温度で持てる水分を最大限持っているということです。
冬は乾燥する・・・そんなイメージを持っている方も多いと思いますが、夜のうちに気温が下がりその温度で持てる水分は少なくなります。日が昇り温度が上昇すると、持てる水分量が増えるのですが気温が下がっていた時間に持っていた水分量しかなく、気温が上がったとはいえ低いのでどこからか気化される蒸気もないので湿度は下がっていくのです。
逆に夏は昼間に熱せられて気化していた蒸気が、気温の下がった夜でも空気中に存在しているため湿度は夜に上がってきます。こんなメカニズムは理解できましたか?
人工呼吸器をしている人(NPPV以外)は管を挿入するので鼻腔を通りません。
ですから、しっかりとした加温加湿器を人工呼吸器の回路にセットして呼吸させます。加温加湿器の代わりに人工鼻と呼ばれるものを使う場合もあります。
それに比べてCPAPの場合はNPPVと同じで
①鼻腔を通る呼吸をする
②リーク(漏れ)が存在する可能性がある
という大きな注意点があります。
①からは、そんなにしっかり加温も加湿もする必要はない・・・となります。
②からは、リークが存在すると普通に呼吸している時の何倍もの加温加湿能力がないと追い付かない・・・となります。
この2つの大きな矛盾が生じてきますよね。
そこでCPAP時の加温加湿器の導入に際して気を付けたいこと!
加湿能力・・・ホースに水がたまらない程度の設定の最大(わからない場合は真ん中)
加温能力・・・ホースヒーターがあり温度調節が可能な場合は最大温度で!
この設定で使うようにしましょう。
日によってムラがあるとは思いますが、加湿能力はホースに水がたまらない程度の設定を見つけていきましょう。
水滴の残りやすさは、設定温度や湿度にも影響されますが、季節(冬)と漏れの多さが一番大きく影響します。
冬>夏
漏れ少>漏れ多
器械を提供する側は、加温加湿器を導入する場合は加温加湿器の能力を最大限に発揮させる使い方を推奨していただきたいと思います。
中途半端な設定では、あってもなくても同じと感じてしまいCPAPを使えないものと認識させてしまう恐れがありますので慎重にしていただきたいです。